Smileaya Project

がん患者の抑うつ・不安に対するスマートフォン精神療法の最適化研究:
革新的臨床試験システムを用いた多相最適化戦略試験

研究説明文書 -アセント版-

SMILE AYA Project の研究説明文書-18歳未満の方向け(アセント版)-を記載しています。

更新日:2024/04/26

「AYA世代がん患者のアンメットニードに対するスマートフォンを用いた苦痛スクリーニングおよび問題解決療法の有効性:分散型多施設ランダム化比較試験」の実施計画と研究組織は、以下の通りです。

※アンメットニード(unmet needs)とは、治療や生活においてまだ満たされていない患者さんの希望や要望のことを指します。

1 はじめに

これは、あなたにこの研究の内容を正しく理解していただき、あなたと保護者の方にこの研究に参加するかどうかを決めていただくための説明文です。この研究についての質問はいつでも自由にできますので、分からないことや不安なことがあるときは、担当のスタッフにおたずねください。

この研究は、名古屋市立大学医学系研究倫理審査委員会(所在地:名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1)において医学、歯学、薬学、その他の医療又は研究に関する専門家や専門以外の方々により倫理性や科学性が十分であるかどうかの審査を受け、承認されたうえで、研究を実施する研究機関の長の許可を受けて実施されます。またこの委員会では、この研究がきちんと実施されているか、継続して審査していきます。なお、この委員会にかかわる決まりは、以下のホームページでご確認いただけます。

名古屋市立大学病院 臨床研究開発支援センター ホームページ “患者の皆様へ”

http://ncu-cr.jp/patient

2 この研究施設における研究責任者および研究分担者の氏名

研究課題名 AYA世代がん患者のアンメットニードに対するスマートフォンを用いた苦痛スクリーニングおよび問題解決療法の有効性:分散型多施設ランダム化比較試験
研究機関名 名古屋市立大学大学院医学研究科・精神・認知・行動医学
研究責任者 明智 龍男
研究分担者名 名古屋市立大学大学院医学研究科
精神・認知・行動医学分野
原田 喜比古
名古屋市立大学
臨床心理室
伊藤 嘉規

なお、この研究は、以下の研究機関が参加しています。

研究機関名 名古屋市立大学医学部附属病院
研究代表者 名古屋市立大学大学院 精神・認知・行動医学 明智 龍男
共同研究機関・責任者 国立がん研究センターがん対策研究所 藤森 麻衣子
国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 小島 勇貴
名古屋医療センター 小児血液腫瘍学 前田 尚子
聖路加国際病院 臨床腫瘍学 北野 敦子
帝京大学医学部 緩和ケアセンター 渡邊 温子
大阪国際がんセンター 血液内科 多田 雄真
広島大学病院 精神科・緩和ケアセンター 倉田 明子
山口大学医学部附属病院 精神科 松原 敏郎
名古屋医療センター臨床研究センター 生物統計研究室 橋本 大哉
国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター行動科学 堀越 勝
京都大学大学 成長戦略本部 古川 壽亮
キャンサー・ソリューションズ株式会社 桜井 なおみ

3 研究の目的と意義

YA世代(Adolescent&Young Adult世代:15~39歳の若い方)のがん患者さんは不安やうつ病を経験するリスクが高いといわれています。がんの治療だけでなく、適切な心理社会的治療が望まれていますが、その効果的な方法はまだわかっておらず、相談する場所や治療の体制も整備されていません。AYA世代はインターネットになれており、スマートフォン(以下、スマホと記します)を使った治療ができれば、きちんとした正しい情報や心の治療をすぐに受けられるようになり、がんになっても生活の質が維持・改善できます。

私たちのグループは、がん患者さんによりよいケアを受けてもらうための研究に取り組んでいます。スマホアプリを用いて、心やからだの症状や困りごとに対するセルフケア情報を提供し、日常生活の困りごとを解決していくお手伝いをするような心のケアを受けることで、気分の落ちこみや不安をどれくらい軽くできるのかを確かめるため、この研究を行っています。この方法は効果がある可能性がありますが、まだ科学的に証明されていません。

これから研究の内容を説明していきます。よくお読みになって、ご協力いただける場合には、ホームページから参加の手続きをしてください。そのあと事務局からお電話をして、いくつかの点を確認させていただいたうえで、ホームページから研究参加への同意手続きにお進みいただきます。もし同意書類の手続きを郵送でご希望される場合は、事務局からのお電話の際にその旨をお伝えください。同意手続きが完了したら、そのことを後日メールにてお知らせします。そのメールと、この説明同意文書もダウンロードか印刷をして大切に保管してください。

4 あなたがこの研究の対象者として選ばれた理由

以下のすべてに当てはまる方が、この研究に参加いただけます。

1) がんの診断を受けている。
2) 名古屋市立大学病院または上記の共同研究機関に外来通院中で、今後3ヶ月以内にがんによる3日以上入院が予定されていない。
3) 同意をした時15~39歳である(18歳未満の方は保護者の同意も必要です)。
4) スマホを日常的に使い、スマホ上でアンケートに答えることができる。

ただし、以下の条件に1つでもあてはまる方は、この研究に参加いただけません。
1) 半年以内に大きな治療の変化が見込まれている。
2) 精神科あるいは心療内科に現在通院している。
3) 認知機能や知的な問題で読み書きが難しい。
4) 日本語の読み書きが難しい。
5) スマホによるものを含めた認知行動療法あるいはスマイルプロジェクト、スマイルアゲインプロジェクト、サクラプロジェクトに参加したことがある。
6)研究スタッフが研究への参加を不適当であると判断させていただいた場合。

*これらの基準に関しては、事務局が電話で確認させていただきます。

5 この研究の方法及び期間

【期間】

皆様に参加いただく期間は2ヶ月(8週間)です。
研究全体の実施予定期間は15ヶ月を予定しています。

【方法】

評価尺度注
FCRI-SF:再発恐怖に関する質問票
PHQ-9:うつに関する質問票
GAD-7:不安に関する質問票
UCLA-LS3-SF:孤独感に関する質問票
BRS-J:レジリエンス(回復力)に関する質問票
EQ-5D-5L:生活の質に関する質問票

1)参加登録

通院されている病院の主治医または看護師などから渡されたリーフレットをお読みになり、参加したいと思えましたら、QRコードからこの研究のホームページにお進みください。研究の説明文書(この文書)と研究紹介動画を見た上で、研究参加をご希望の場合、ホームページからお申込みを行ってください。そのとき、氏名、年令、郵便番号、自宅住所、メールアドレス、電話番号、電話連絡可能な時間帯、通院している病院名と担当医名をご入力いただきます。
お申込みが確認できたら、事務局からお電話をします。ご本人がこの研究参加の条件を満たしているかどうかの確認と、研究の説明をもう一度かんたんにさせて頂きます。この研究へのご参加にご同意を頂いたら、同意取得するためのメールをお送りします。この時、電話番号、メールアドレスの記入と、通院先の診察券の写真のアップロードをしていただくことでご本人確認をします。

2)アプリ上のアンケート回答(第0週)

研究参加にご同意後、事務局がお送りするメールに従って、スマホアプリ『レジトレ!for SMILE AYA』 をインストールし、別のメールでお知らせするIDとパスワードでサインインしてください。まず最初(第0週)のアンケート調査にお答えいただきます。これにより気持ちの状態などをはあくします。

3)「介入群」と「通常治療群」の割り振り

アンケートに回答後「介入群」と「通常治療群」という2つのグループのどちらかにわりふられます。このわりふりはコンピュータによりランダムに行われ、どちらの群になるかは50%ずつの確率で均等です。この手法を「ランダム化」と言い、治療の有効性を確かめるために行われる科学的方法の一つです。
「介入群」にわりふられた方には、心やからだの症状や困りごとに対する情報提供、スマホ問題解決療法をすぐに始めていただきます。問題解決療法は毎日5分程度、週におよそ30~45分程度かかります。「通常治療群」の方は、8週間これまで通りの通常治療を続けて頂きます。「通常治療群」の方も8週後から「介入群」と同じように情報提供を受けていただき、スマホ問題解決療法を開始することができます。

4)アンケート回答(第2,4,8週)

「介入群」の方も「通常治療群」の方も、その後の状態をはあくするために、第2,4,8週にまたアンケートにお答えください。アンケートの時期になりましたらスマホ上でお知らせします。アンケートの入力ができていない場合、事務局からメールやお電話をさせていただくことがあります。なおアンケートの結果、気持ちのつらさがとても重いと判断された場合には、心とからだの負担を軽くするため適切な対応ができるよう、通院している病院の主治医にご連絡させていただくこともあります。

<アンケートの時期・内容>

項目 第0週 第2週 第4週 第8週
研究スタッフとの電話 説明と同意取得
スマホアプリでの回答 基本属性
FCRI-SF, PHQ-9, GAD-7
UCLA-LS3-J-SF, BRS-J, EQ-5D-5L

基本属性:生活状況や身体状態に関する質問票
FCRI-SF:再発恐怖に関する質問票
PHQ-9:うつに関する質問票
GAD-7:不安に関する質問票
UCLA-LS3-SF:孤独感に関する質問票
BRS-J:レジリエンス(回復力)に関する質問票
EQ-5D-5L:生活の質に関する質問票

【予定される研究対象者の数】

介入群(すぐにスマホ介入を始めるグループ)が112名
通常治療群(8週間、通常治療を受けるグループ)が112名
合計224名を予定しております。

【スマホアプリについて】

スマートフォン問題解決療法アプリ
『レジトレ!for SMILE AYA』(Life2Bits株式会社開発)
iOS端末 ※iOS9以降インストール可能
Android端末 ※OS5.1以降・RAM1.5GB以上でインストール可能

6 あなたがこの研究に参加することによって期待される利益と予測される負担やリスク

≪利益について≫

本研究では、情報参照用のホームページを案内し、再発恐怖や抑うつ、不安などに対してスマホを用いた問題解決療法を行います。介入群は第0週から、通常治療群は第8週が過ぎてから、これらを利用できます。この研究に参加して頂くことによって、どちらの群に割り振られても、精神心理的な負担が軽減し、生活の質が改善する可能性があります。

≪不利益(負担やリスク)について≫

この研究は、スマホのアプリ操作、アンケート回答が主であり、皆様の身体に与える悪影響はございません。しかしながら、内面的なことに触れることで皆様に不快感を与えることがあるかもしれません。またアプリのインストール時やアンケート回答時、提供情報の取得時にかかるスマホ通信費はご負担いただきます。これまでの私どもの同様の研究の経験からは、不利益はほとんどないと考えておりますが、万が一本試験に参加中に健康被害が生じるような状況を認めた場合は、速やかに研究事務局(090-7683-1824、平日15:00〜19:00)に相談して下さい。

7 同意の撤回の自由について

この研究へのご協力はみなさん個人の希望によるものです。いったん同意した後でも、理由をはっきり言わずに同意を取り消すことができます。この説明書を読まれたからといって参加されない場合や途中で参加をやめる場合でも、あなたに不利益はありません。同意を取り消す場合、参加登録を行ったウェブサイトにある「同意撤回」の項目をお選びください。

8 研究への参加に同意しなくても、途中で同意を取り消しても、不利益な取り扱いを受けないこと

あなたがこの研究への参加に同意されない場合や、途中で参加をとりやめる場合でも、今後の治療等で決して不利益を受けることはありません。

9 研究に関する情報公開

この研究はUMIN-CTR(UMIN臨床試験登録システム)に記録・公表されています。また結果についてもあなたの個人情報を保全した上でUMIN-CTRにおいて公表されます。

10 研究計画書及び研究の方法関する資料の入手または閲覧できる旨、その方法

みなさんが希望すれば、ほかの参加者の個人情報やこの研究の独創性の確保に問題がない範囲で、研究計画や研究方法に関する資料を見ることができます。資料を見たい方は事務局までお問合せください。

11 個人情報等の取り扱い

この研究で得られたアンケートの結果は、スマホを用いた介入前後の状態を比べるために使います。これらのアンケートデータは、研究IDを用いて管理され、名前や年令などの個人情報とは分けて保存するため、研究者に個人情報が知られることはありません。
また、個人情報と研究IDとの対応表については、研究事務局、受託機関(株式会社アクセライト:プライバシーマーク登録番号「17001989」、ライフツービッツ株式会社:プライバシーマーク登録番号「14700160」)が閲覧できるよう別システムにて厳重に管理いたします。

12 情報の保管方法、廃棄方法

あなたの解析結果は、この研究の終了について報告した日から5年を経過した日、またはこの研究の結果の最終の公表について報告した日から3年を経過した日のいずれか遅い日までの期間保管されます。
保管期間をすぎたら、紙の資料はシュレッダーでバラバラにした上で処分します。書き換えできない電子媒体の場合、物理的に壊してデータ読み取りができない状態にしてきちんと処分します。また、書き換えできる電子媒体のデータの場合、物理的に壊してデータ読み取りができない状態にするか、ダミーデータを何回か上書きして、元のデータを復元できない状態にした上で、同じように処分します。あなたが同意を取り消した場合、その時点で同様に紙や電子媒体の資料を処分します。

13 あなたから頂いた情報について、将来の他の研究に用いられる可能性、又は他の研究機関に提供する可能性

この研究では、あなたから提供いただいた情報を、将来の他の研究に用いることや、他の機関へ提供する予定はありません。

14 研究により得られた結果等の取り扱い

原則として、この研究で得られたアンケートデータの結果について、参加者の皆様に説明する機会は設けておりません。

15 研究についてのご相談、健康状態に問題があると感じられたときの医療機関の連絡先

この研究について知りたいことや、ご心配なことがありましたら、お気がるにご相談ください。

【当施設における問い合わせ先】

研究実施機関
名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学

連絡先
090-7683-1824 / info@smileaya-project.org

*対応可能時間帯
平日 15:00~19:00

*対応者
原田 喜比古はらだ よしひこ 明智龍男あけちたつお

16 あなたに対する費用負担、謝礼の有無

スマホアプリはすべて無料でご利用できます。ただし、ご利用の携帯電話会社にはアプリの使用時やデータの送受信にかかる通信料はお支払いいただく必要があります。また、この研究へのご参加に関して、アンケート調査にすべてお答えいただいた方には、少しですがお礼(アマゾンギフト券またはクオカード5000円分)をお送りさせていただきます。

17 他の治療方法等について

この研究に参加しても参加しなくても行う治療は同じです。

18 研究実施後の医療の提供に関する対応

この研究に参加していただいた後の治療等に制限はありません。例えば精神科や心療内科を受診していただくこともできます。

19 研究によって生じた健康被害に対する補償の有無、その内容

この研究は、ほぼ危険性は伴わないため、この研究を行うことによる健康被害に対して補償や賠償保険などは準備しておりません。もし、身体状態や精神状態が悪化した場合には、お手数ですがかかりつけの医療機関や主治医にご相談ください。

20 モニタリング及び監査について

この研究においてはモニタリングや監査は行う予定はありません。

21 この研究の資金源及び利益相反について

研究一般における、利益相反(COI: Conflict of interest)とは「主に経済的な利害関係によって公正かつ適正な判断が歪められてしまうこと、または、歪められているのではないかと疑われかねない事態」のことを指します。具体的には、企業等が研究に対してその資金を提供している場合や、研究に携わる研究者等との間で行われる株券を含んだ金銭の授受があるような場合です。このような経済的活動が、研究の結果を特定の企業や個人にとって有利な方向に歪曲させる可能性を判断する必要があり、そのために研究の資金源や、各研究者の利害関係を申告することが定められています。
この研究は、文部科学省科学研究費補助金 挑戦的研究(開拓)(研究代表者:名古屋市立大学大学院医学研究科 明智龍男)、文部科学省科学研究費補助金 基盤研究B(研究代表者:名古屋市立大学大学院医学研究科 明智龍男)、国立研究開発法人科学技術振興機構による社会技術研究開発事業「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)」(研究代表者:国立がん研究センター 藤森麻衣子)の研究助成により実施するものです。

なお、この研究では、企業等の関与と、研究責任者および研究分担者等の利益相反申告が必要とされる者の利益相反(COI)について、名古屋市立大学大学院医学研究科医学研究等利益相反委員会の手続きを終了しています。また、共同研究機関においても、利益相反関係を把握し、生命・医学系倫理指針を遵守して適切に対応しています。

22 研究成果の帰属について

この研究で得られるデータ又は発見に関しては、研究者もしくは研究者の所属する研究機関が権利保有者となります。この研究で得られるデータを対象とした解析結果に基づき、特許権等が生み出される可能性がありますが、ある特定の個人のデータから得られる結果に基づいて行われることはありません。したがって、このような場合でも、あなたが経済的利益を得ることはなく、あらゆる権利は、研究者もしくは研究者の所属する研究機関にあることをご了承ください。

23 開発業務委託機関について

ePRO・EDCシステムの開発を株式会社アクセライトおよびライフツービッツ株式会社に業務を委託しております。

研究参加のお申込み

研究参加のお申し込みは以下のフォームよりお願いいたします。

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